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初めて体験した4日間の隔離病棟 【甲状腺癌と術後のアイソトープ治療②】

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【2019年5月8日 最終更新】

前回までは、甲状腺癌全摘出手術後の、アイソトープ治療の概要と、事前検査などについて詳しくふれました。今回の記事では、4日間に渡り行われた隔離病棟でのアイソトープ治療の体験談をご紹介します。このブログ記事は、記憶違いを極力少なくするために、当時の日記をもとに記述しています。

 

 

まずは、前回の記事をご案内します。 

blog-ireland.hatenablog.com

 

目次

 

 

アイソトープ治療1日目

小さな旅行カバンに必要な物をつめて、朝一で病院に向かいました。

 

アイソトープ治療は初めてだったので、内心は興味津々でまるで旅行に行くような気分だったのを覚えています。今思えば、少し怖いもの知らずだったと思います。

 

まずは、待合室にメディカルフィジシストの男性が現われ、注意事項などの説明を受けました。

 

普段お世話になっているメディカルフィジシストの上司にあたる方で、一番偉い人だったようです。その人が現れたことで、これから自分の身体に起きる事の重大さが現実味を帯びてきて、緊張感が増してきたのを覚えています。

 

受けた説明の具体的な内容は、以下のようなものでした。

 

  • 1時間に1カップの水を、一日に10~15カップを必ず飲むこと
  • トイレはできるだけ頻繁に行くこと
  • 部屋の換気は自動で(おそらくタイマー式)で行われるようになっている
  • シャワーは毎日浴びる事
  • スカイプレミアムという映画やドラマが観放題のテレビが設備されているから、暇つぶしになる
  • 何か分からない質問があったり、気分が悪くなったりしたら、すぐにナースコールでナースを呼ぶこと
  • 室内で仕様した雑誌やタオルは、ぜったいに持ち帰ってはいけない。室内に置いていくこと
  • 使用したタオルやゴミはそれぞれ決められた特定のボックスに必ず入れること
  • ナースやドクターと話をする際には、最低2メートル以上離れること
  • メディカルフィジシストが放射線量を計測する際には、必ず1メートル以上離れること。
  • スナックや雑誌は、ナースが売店で買ってきてくれるので、事前にお金を渡しておくこと

 

隔離部屋の様子は、驚くほどありとあらゆるものがラップに包まれていました。(調理用ラップを少し頑丈にしたようなもの)これは、私の汗や息などから放射能物質が放出されるため、家具や電子機器を守るためだそうです。

 

室内は、2つ星ホテルの1室という感じでした。備えられていたものは、

 

  • 自動で角度が調整できるベッド
  • 電話機
  • テレビ
  • 冷蔵庫
  • 新しいシーツやタオルが入った戸棚
  • 汚れたシーツやタオルを入れる大きな容器
  • ソファ
  • テーブル
  • 持ってきたバッグや所持品を入れるためのクローゼット(ここは、所持品が汚染されるので帰宅の許可が出るまでは、開けてはならないということでした)
  • トイレ付きシャワー室

 

以上でした。

 

メディカルフィジシストは、ひと通り説明を終えてから、私がケータイの充電を持ってこなかったことと、ケータイを使用できないという事前説明を受けていたことを知ると、自分のケータイの充電器を持ってきて貸してくれました。

 

ケータイは家族と連絡をとるのに、絶対にあった方が良いから、とのこと。あとになって、この事がとてもありがたく感じました。

 

※もちろん自分のスマホやお借りした充電器もラップでぐるぐる巻きにしました。スマホは、薄く巻かないと感度が落ちるので少し気をつける必要があります。

 

説明が終わり、質問も終えると、「用意ドン!」という感じで、「では、これからこのカプセルを飲んでもらいます」と言って、カプセルを渡されました。

 

飲み終わると、メディカルフィジシストはすぐに室内を出ていきました。少しだけ、心さびしく感じましたが、スカイプレミアムの映画が見放題なので、夕食まであっという間に時間が過ぎていきます。(※昼食は出ませんでした)

 

夕食

夕方になると、ナースが夕食を運んできてくれました。

 

お腹をすかせていて、待ちに待った夕食だったので、とても嬉しかったのですが、大きなお皿にぽつんとグレイビーソースの乗ったクリームポテトのみを見たときは、思わず「これだけ?」と涙目になってしまいました。

 

その後、お皿を下げに来たナースの年配の女性は、少しほほ笑みながら

「お腹空いていると思うけど、これからどんどん吐き気が増してくるから、あまり食べない方がいいよ」

とアドバイスしてくれました。

 

夕食後 

ナースの忠告にもかかわらず、私はナースに頼んで小さなスナックを二袋購入してもらい、それを急いで食べてしまいました。。。

 

2袋目のナッツに突入したあたりで、だんだん気分が悪くなってきて強い吐き気が襲いました。つわりの時でも、さらに食べることで気分転換をしてきた私でしたが、この時はさすがに食べるのをやめて水だけを飲むようにしました。

 

夜 

ケータイで家族と連絡をとって、夫や娘と話しをしているうちに、少しだけ気分が落ち着きました。このとき、メディカルフィジシストから充電器を借りておいてよかったと感謝。

 

コメディ映画を夜通し観て、気分転換をしました。夜の9時頃にメディカルフィジシストが放射線値を計りに来ました。

 

ナースは、夜中もずっと窓越しに確認しに来てくれていたようでした。私が最終的に気分が落ち着いて、寝に落ちた夜中の2時ごろまでに、計4回ほどチェックに来てくれたのを覚えています。ほとんど同じナースだったので、私の担当が決められているのだと分かりました。

 

アイソトープ治療2日目

朝目覚めると、気分は大分良くなっており、ほっと一安心。

 

隔離病棟と言っても、高窓が壁一面に全部で5~6枚ほど備え付けられており、カーテンを開ければそこから朝のやさしい光が差し込み、室内を明るくしてくれます。

 

朝食

朝食は、ポーリッジだけで、お腹がぐぅぐぅ鳴っていましたが、昨夜のこしたスナックを目にすると、再び吐き気が湧き上がってきました。これは、メンタルな吐き気なのでしょう。

 

朝食後

体が少しだるいので、床に敷物を敷いて、ヨガを行いました。

 

床がゴツゴツして痛かったですが、太陽礼拝だけだったので、それほど痛くはありませんでした。今思えば、ベッドの上でもっとやさしい動きで体をほぐした方が、良かったような気がします。

 

そのあと、シャワーを浴びすっきりしてから、映画を観ました。

 

その後、だんだんと気分が落ち込んだり上がったりしてきて、自分の内面を見つめ直すことが増えていきました。こういう状況だからこそ、人は普段以上に現実的になれるものなのかもしれません。

 

普段は見たくないと思っている自分の悪いところが、何のプロテクターもなしに剝き出しになっていて、それを自分が高いところから現実的に客観視している感じでした。

 

昼食

昼食のメニューは、

 

 

しっかりとした食事をするのは二日ぶりだったせいか、とても美味しくてあっという間になくなってしまいました。その食事のボリュームを見たときは、思わず嬉しくて涙が出てきたほどです。

 

 

 

 

 

 

夕方

夕方になると、筋トレのエクササイズをしました。一日中、ベッドの上に座っていると、たったの一日でも筋力がだいぶ衰えていくのを感じます。

 

夕食

エクササイズが終わる頃に、ちょうど夕食が配膳されました。

 

今回は、デミグラスソースのようなものがかかったオムレツと何か(覚えてはいない)で、これもとても美味しかったです。

 

この時点で、食事が美味しく感じるのはお腹が空いているからだけではなくて、シェフの腕が良いということに気付き、この病棟は私の中で2つ星ホテルから3つ星ホテルに格上げされました。

 

夕食後 

臭覚に異変

食後にシャワーを浴びたときに、シャワー室の独特のメディカルな臭いが気になり気分が悪くなりました。

 

このあたりから、臭覚に異変を感じました。いつもは感じることのない匂いに嫌気がさしたり、吐き気を感じたりするようになりました。これもおそらくはアイソトープ治療の影響なのだと思います。

 

自分の体を上手くコントロールできていないせいか急に寂しくなり、気分を盛り上げるためにも映画を観ましたが、あまり効果はありませんでした。そこでテレビを消して、この日はラジオのクラシック専門チャンネルを夜通し聴きました。

 

これは、それなりに効果があったように思います。クラシックを聞きながら寝付くことができました。

 

寝付く前に、メディカルフィジシストがいつものように線量を計りに来て、ナースも2~3回チェックしに来てくれました。

 

アイソトープ治療3日目

アイソトープ治療のための隔離生活も3日目となると、完全に暇をもてあまし、閉塞感を感じるようになりました。その一方で明日帰宅できるかもしれないワクワク感で胸がいっぱいでした。

 

少しでも外の世界と繋がりたいと思ってテレビをつけると、どのチャンネルも日本で安部内閣が成立したニュースを報道していました。

 

CNNやABCといったアメリカの大手テレビ局だけならまだしも、アルジャジーラやフランスのオルタナティブ系メディアまでもが、日本の安部内閣のニュースを報道していたのには、少し驚きました。

 

朝食

朝食はいつものポーリッジ。ポーリッジは、あまり好きな食べ物ではないが、便秘に非常に効果があります。栄養価もとても高く、女性の美容には最高の朝食。残さず全部いただきました。

 

朝食中に、ふとあごの浮腫みに気付きました。

 

気のせいだろうか?と思いなおし、映画などを観ながら休んでいると、昼近くには顎の腫れがだんだんひどくなってきており、「またもやアイソトープ治療のしわざか!」と思いました。

 

とはいえ昼食のローストビーフは美味しくいただきました。昨日と同じメニューだったので、少し飽きてきましたが。・・・

 

 夕方

顎の浮腫みが、完全に腫れている状態へ変化し、少し痛みも伴うようになりました。

 

周囲の匂いにも非常に敏感で気になりました。私はもともと臭覚が非常に敏感なタイプなので、もしかしたらこれには個人差があるのかもしれません。

 

シャワー後にメディカルフィジシストが来て線量を計測しました。その結果、値がだいぶ下がっているので、翌日帰宅できる可能性が高いとのことでした。予測してはいたことでしたが、非常に嬉しかったです。

 

夕食

夕食のメニューの内容はほとんど覚えていません。それほど、顎の痛みが辛かったのだと思います。

 

この痛みについてナースにはじめて打ち明けると、あまり酷い場合は、ステロイドを処方してもらう必要があるとのことでした。

 

しかし、これには条件があり、呼吸がとれないほどの痛みがある場合のみステロイド剤を処方するとのことでした。というのも、これを飲むと眠れなくなるおそれがあるそうなのです。痛みが続くようであれば、あと1泊する可能性もある、と聞かされてがっかりしました。

 

夕食後

痛み続いていたので、気分転換に映画を観終えたのち、ラジオを聞きながらさっさと寝てしまいました。あれほど痛くて寝苦しかったのに、よく眠れたなと驚いています。

 

アイソトープ治療4日目

朝目覚めると、顎の腫れが少し良くなっていました。

 

そして、ついに退院の許可が出ました!

 

朝食後、朝一番でドクターとメディカルフィジシストが来て、線量を計ったところ毎時9マイクロシーベルトで、帰宅しても大丈夫なレベルとのことでした。詳しいいきさつについては、以下の記事をご覧ください。

 

www.maroon-golden.com

 

最後の最後でハプニング!

やっと、帰宅許可を得てあとはナースを待つばかりという段階で、ナースがなかなか来てくれませんでした。

 

忙しいのか?と思い、気長に待っていましたが、30分まっても誰もきませんでした。少しおかなしいな?と思いナースコールをしましたがこれまた誰も応答しません。

 

少し経ってから、見たことのない新人ぽい男性のナースがやってきて、事情を説明したところ、ドクターに再度退院許可を確認する必要があるとのことでした。

 

私は、退出許可証をすでにもらっていたので、それをそのナースに渡そうと近づくと、ナースは飛び上がって、それ以上近づかないでくれ!と言ってきました。

 

その時に、突然部屋のなかでアラームが鳴り、そのアラームを消すように指示されました。

 

このアラームは、おそらくはこの新人のナースが、私が帰宅許可証を持っている状況を分かっておらず、さらには帰宅して良いレベルまで線量が下がっているということを知らなかったので、とっさの決断で緊急事態と判断しアラームを押したものと考えられます。

 

私は、消す場所が分からなかったので、その人に聞きましたが、その人は許可がなければドアから中には入れないとのことで、少しパニックになっているようでした。

 

私も少しパニックになっていて、何度かその人の説明を聞いてからようやくアラームの場所が分かり消せました。

 

それからまた、そのナースは確認のためいったんナースステーションに戻り、その後今までお世話になった担当のナースが来て私を外に出してくれました。朝は忙しくなかなか人手がまわっておらず、待たせてしまったとのことでした。

 

帰宅許可が出たのに、どれだけ待っても誰も現われず、外に出られない、もしかしたら忘れられたのではないか?と考えを巡らせたときは、正直言って少し怖かったです。また、最後の最後に危険人物のような扱いを受けた事がショックでした。

 

このような考え方も、普段ではあまりないことです。普通の状態では冷静に対処できますが、4日間隔離された後では、普段とは違う行動をとってしまうものなのかもしれません。

 

今回は、私が体験した4日間のアイソトープ治療と隔離生活の様子をご紹介いたしました。アイルランドと日本では少し違いがあるかとは思いますが、この体験記が少しでも多くの甲状腺癌患者のお役に立てれば幸いです。

 

 

 

 

この記事を最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました。